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団体概要

設立の背景

 レコード産業は、グローバル市場において広く販売網、資金力を有する多国籍事業者、いわゆる「メジャー」の寡占状態が続いています。メジャーは、その強大な資金力・組織力・政治力によるマーケティング力、メディア戦略、M&Aを中心とした事業拡大戦略により、20世紀末には世界市場の4分の3を占めるといわれました。
 しかし、近年のデジタル技術、ネットワークインフラの飛躍的な発達・普及により、この構図に変化が見えています。最近の調査によれば(「WINTEL 2017」調べ)、世界各国において地域資本、国内資本による独立系レコード会社(インディペンデント、インディーズと総称される事業体)の市場競争力が相対的に強まり、2017年には世界市場の38.4%に達しています。これは、最大のメジャーであるUniversal Music Groupのシェアをも超えており(上記調査参照)、また世界最高峰と称される音楽イベント、グラミー賞(Grammy Awards)やBrit Awards等においても、インディーズ所属アーティストが最優秀レコード賞を獲得するなど、その存在感が増しています。

 インディーズと呼ばれる地域独立レコード事業者は、自らの役割、存在意義を次のように定義しています。

1. Diversity (商業性にとらわれず、多様な音楽と才能を支援普及する)
2. Artist Friendly(アーティストとの距離感を縮め、パートナーとして位置づけ)
3. Collective Dominance(共同することによる相乗効果)
4. Creation of Employment(メジャーのリストラが進む中でも着実に雇用を保障)
5. Improvement of Culture and Economy(文化産業の担い手としての役割)

 時代の変化に対し、インディーズコミュニティーにおいて、インターネットを基盤とするグローバルマーケティング戦略と新たなビジネスモデルへの取組みに、共同して対応しようとする動きが欧米を中心として顕在化し、2006年にWorldwide Independent Network(WIN)が設立されました。同時に、当時EUで注目され始めたスウェーデン発のストリーミングサービスSpotifyとの集団交渉を通じて、インディーズコンテンツの集中許諾機関としての新組織Merlin B.V.がWIN Boardを中止として提起設立され、収益実績、許諾条件交渉の点で大きな成果を挙げています。

 欧米主要国においては、2015年を境として、従来のパッケージメディアからデジタルメディア、とりわけサブスクリプションサービスへと音楽市場構造がシフトし、その傾向は他の地域、特に新興国においては既に事業活動の主流ともなっている国や地域も見られます。
 わが国レコード産業は、世界第2の音楽市場として永く国内需要に支えられ、独自の業界構造を維持してきました。一方で、国際的な定義に基づくインディーズ事業者は、日本レコード協会(RIAJ)、インディペンデント・レーベル協議会(ILCJ)、インディペンデント・レコード協会(IRMA)、音楽制作者連盟(FMPJ)、音楽出版社協会(MPAJ)、またいずれの団体にも属しないレーベルなど、多方面に分散していることから、必ずしも欧米に見られるような共同共助活動を進める構造態勢とはなっていないのが現状です。
 このような状況を踏まえ、約3年前より、業界団体を超えた協力体制の構築の可能性が議論検討されてきました。その動きがIndependent Music Coalition Japan(IMCJ)設立構想となり、現在ILCJ、IRMA、また新たに2016年よりJNCA(一般社団法人日本ネットクリエーター協会)の参加も得て、組織体、構成員等につき準備が進められてきました。折しも、国際団体であるWINの組織活動強化とこれに伴う日本よりの理事派遣、Merlin Japan設立に伴う日本でのサービス開始が表面化し、わが国音楽文化の海外展開が実効的に推進される土壌が醸成されたと考えられます。

 現在、音楽サブスクリプションサービスは世界で250を超えています。コンテンツホルダーにとって、これらサービスを活用したコンテンツ配信機会を増やすことで、今後の収益増大、ファンベースの拡充構築を図ることが、事業発展の鍵となると考えられています。しかし、わが国の音楽事業者(特に中小事業者)にとっては、これら多地域・多岐にわたるサービス事業者へのアクセスや配信契約の締結、また配信事業に必須となるメタデータの作成登録、コンテンツの安全なストレージ(保管)、サービス事業者へのマルチフォーマット(MP3、AAC、FLAC、ハイレゾなど)によるデリバリー、更には言語(主に英語)への対応など諸要因により、グローバル規模の事業展開が困難であり対応が遅れているとの声が寄せられています。
 このような課題に対する技術的・人材的ニーズや海外におけるサービス事業者、事業パートナーとの接触機会を提供し、一方でわが国において分散しているインディーズ事業者が、所属事業者団体固有の事業活動と抵触することなく、共通の目的である海外市場へのアクセス機会の拡大を図るため、ここに非営利サービス機関としてのIMCJを設立し、WINを起点とした国際コミュニティーへの参加を意図するものです。

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